日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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カーネーションにおける4-coumarate:CoA ligase (4CL) cDNA の単離とその解析
鈴木 あかね緒方 潤中山 真義柴田 道夫吉田 洋之伊藤 佳央*小関 良宏
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p. 537

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抄録
カーネーションをはじめとする花色の主要素であるアントシアニンは古くから研究が盛んに行なわれておりその合成経路ならびに酵素遺伝子は既に明らかにされている。このアントシアニン合成に関与する一連の酵素の1つである4-coumarate:CoA ligase (4CL) は色素合成のみならずリグニンの合成経路の初発の反応をも触媒することが知られている。今回我々はカーネーション( Dianthus caryopthyllus )の花及び根から配列の異なる3つの 4CL cDNA ( Dc4CL1, Dc4CL2, Dc4CL3 )を単離した。アミノ酸配列の比較検討を行なったところ Dc4CL2Dc4CL3 に対する相同性が77.6%であるのに対し、Dc4CL1Dc4CL2, Dc4CL3 に対する相同性はそれぞれ37.1%, 36.8%と低いことが分かった。またさらにノーザンハイブリダイゼーション解析を行なったところ、Dc4CL1 は花のみにおいて特異的に発現していることに対して、Dc4CL2 および Dc4CL3 はリグニンの蓄積が著しい根や茎における発現が高いなど、各4CLは植物の器官において異なる発現パターンを示すことが明らかとなった。これらの結果からカーネーションおいて4CLは少なくとも 3 種類存在し、それらはアントシアニン合成、あるいはリグニン合成とおのおの異なる代謝経路を触媒していることが推測された。
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© 2003 日本植物生理学会
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