日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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カルコン合成酵素遺伝子抑制によるリンドウの花色変異体作出
*西原 昌宏中塚 貴司三柴 啓一郎菊池 亮子山村 三郎
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p. 538

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抄録
 我々はこれまでにアグロバクテリウム法により青花リンドウにアンチセンスCHS(Chalcone synthase)遺伝子を導入し、白花化に成功している。今回、これら形質転換白花化リンドウの特性評価試験を行った結果について報告する。
 特性評価項目は除草剤抵抗性、花粉稔性、草丈、開花日とし、調査を行った。アンチセンスCHS遺伝子導入白花化リンドウはbar遺伝子を選抜マーカー遺伝子として有することから除草剤に対する抵抗性付与が期待される。そこで、馴化後3年目の鉢栽培中の形質転換体2系統を用いて、除草剤ハービー液剤(ビアラフォス18%含有、(株)明治製菓)に対する抵抗性試験を実施した。ハービー液剤はリンドウ栽培では通常200倍希釈で株間除草に用いられるが、導入元品種'アルビレオ'は実用濃度の200倍希釈液散布で枯死しするのに対し、形質転換体は正常に生育し、本除草剤に対して抵抗性を示した。また、形質転換体の花粉稔性、草丈を調査した結果、元品種に比較して有意な差は認められなかった。なお開花日については形質転換体で1週間~10日程度早まる傾向が見られたが、温室内での鉢栽培によるバラツキのためと推定された。現在、花弁特異的プロモーターによるヘアピンRNA形成ベクターでの高効率のCHS遺伝子の抑制についても検討を進めており、培養器内で開花した系統の中には白色から薄青色まで多様な花色を示す系統が観察されている。
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© 2003 日本植物生理学会
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