日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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カーネーションにおけるchalcone 2’-glucosyltransferaseの単離とその発現
*石田 万都香緒方 潤吉田 洋之伊藤 佳央小関 良宏
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p. 536

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抄録
 アントシアニン色素は、橙色から青色までの幅広い花色を作り出している。しかしアントシアニンの生合成に関わる酵素の発現が失われると色素合成ができないため、カルコンなど中間代謝物の蓄積により黄色や白色花となると考えられている。カーネーションにおいて花色が黄色を呈する要因の一つとしてトランスポゾン (dTdic1) の挿入によるCHI (chalcone isomerase)、およびDFR (dihydroflavonol 4-reductase) 遺伝子の発現量の減少が見いだされている。この二つの遺伝子がブロックされることによって中間産物である 4,2’,4’,6’-Tetrahydroxychalcone が CHGT (chalcone 2’-glucosyltransferase) により配糖体化され、chalcone 2’-glucosideが蓄積し、黄色を呈することが考えられた。そこで本研究では、このCHGTcDNA をクローニングし、その基質特異性を決定した。さらに黄色およびオレンジ色花色カーネーションにおけるそれらの遺伝子発現様式について解析を行った結果、カーネーションの花弁におけるCHGTの発現は、他のアントシアニン合成酵素と比べて低いことが見い出された。またオレンジ花色花はCHGT DFR の微妙な発現時期の違いによる、chalcone 2’-glucoside とアントシアニンの共存により発色していることが見いだされた。
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© 2003 日本植物生理学会
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