日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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リンドウにおけるフラボノイド生合成関連遺伝子の発現解析
*中塚 貴司西原 昌宏三柴 啓一郎山村 三郎
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p. 539

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抄録
 我々は遺伝子工学的手法によるリンドウの花色の多様化を目指して研究を進めている。リンドウ花弁における主要色素であるフラボノイド(アントシアニン)生合成経路について解明し、遺伝子導入による花色改変の指標とすることを目的に岩手県育成の主要12品種についてフラボノイド生合成関連遺伝子のノザンブロットによる発現解析を行った。
 青花リンドウ品種'マシリイ'の花弁の発達段階に伴うフラボノイド生合成関連遺伝子の発現パターンについて解析を行った結果、開花初期に発現が高く、発達に伴い発現が減少する遺伝子(CHS, CHI, FSII, FLS)、開花中期から後期に発現が高い遺伝子(F3H, F3'5'H, DFR, ANS, 3GT, 5AT)、開花初期と後期で発現が高い遺伝子(F3'H)に分類された。また、花色の異なる品種の開花中期の花弁における発現を比較した結果、白花品種ではアントシアニジン合成酵素(ANS)の発現が検出されず、着色が見られない原因と推定された。また、ピンク花品種ではF3'5'Hが他品種に比較して高分子側にシフトしており、ピンク色の発色との関係が示唆された。さらに詳細な発現解析を進めると共に、今回、得られた結果をもとに、リンドウの花色改変を目指し、遺伝子導入を進める予定である。
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© 2003 日本植物生理学会
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