日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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植物におけるメチルエリスリトールリン酸経路の役割と律速段階に関する研究
*笠原 博幸花田 篤志Ian S. Curtis葛山 智久川出 洋岡田 憲典神谷 勇治山口 信次郎
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p. 540

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抄録

植物のイソプレノイドは、細胞質のメバロン酸(MVA)経路と色素体のメチルエリスリトールリン酸(MEP)経路から合成される。我々はシロイヌナズナのMVAおよびMEP経路を阻害剤や変異株を用いて遮断し、これらに安定同位体ラベルした前駆物質を取り込ませることで、標的とするイソプレノイドがどちらの経路から合成されているかを同定する系を構築した。この実験系を用い、シロイヌナズナ芽生えにおけるジベレリン生合成の主要経路がMEP経路であり、また細胞質と色素体間で部分的な前駆物質の交換があることを解明し、昨春の本会で報告した。本年度は、この実験系を用いて、MVAおよびMEP経路が植物の生産する種々のイソプレノイド生合成にどのように関わるか解析を進めている。MEP経路は昨年度までに大腸菌においてその全貌がほぼ明らかとなり、シロイヌナズナにおいてもこの経路を触媒する7つの酵素遺伝子が同定された。しかし、植物におけるMEP経路の律速段階や代謝制御機構についてはほとんど明らかにされていない。我々は、シロイヌナズナにおけるMEP経路の制御段階を同定すべく、MEP経路上の個々の酵素遺伝子を過剰発現する形質転換植物を作出した。現在、各形質転換体におけるイソプレノイド生合成の変化を詳細に解析することにより、各酵素遺伝子を過剰発現した場合に経路全体に与えるインパクトを評価している。

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© 2003 日本植物生理学会
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