抄録
紅色細菌より見つかった青色光受容体AppAは、光合成遺伝子特異的な抗転写抑制因子として機能する。このタンパク質のフォトサイクル反応を調べるために、青色色素であるフラビン(FAD)を結合するドメインの解析を行なった。C末端側を段階的に削ったいくつかの組み換えAppAタンパク質を精製したところ、フラビンはN端156残基までのドメインに非共有結合していることがわかった。この組み換えタンパク質は、全長AppAタンパク質と同様に青色光照射によりその吸収が長波長シフトするフォトサイクル反応を示した。ゲルろ過カラムを用いた実験により、光照射によるこのドメインの構造変化が確認された。これらの結果はAppAのフラビン結合ドメイン自身が、青色光受容機能を有することを示している。またこのドメインに保存されている21番目のチロシンをロイシンまたはフェニルアラニンに変えた変異タンパク質は、フォトサイクル反応を示さなかったことから、このチロシンの側鎖の水酸基がこの反応に重要であることが示唆された。