抄録
ラン藻Synechococcus elongatus PCC 7942において、野生型S12リボソームタンパク質をコードするrps12遺伝子が優性のストレプトマイシン感受性マーカーとして作用することを利用したrps12媒介遺伝子置換法を以前に開発した。本研究では異種ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803のrps12遺伝子を用いて遺伝子置換効率の改良を行った。
PCC 7942のストレプトマイシン耐性変異株を宿主に用い、psbAI遺伝子をターゲットとして異種rps12遺伝子を組み込んだストレプトマイシン感受性部分2倍体を作成し、遺伝子置換を行った結果、約50%の効率で組換え体が得られた。ターゲット部位に組み込む異種rps12遺伝子のプロモーターが強いほど、部分2倍体のストレプトマイシン感受性表現型が安定化するので、宿主psbAIプロモーターと融合した異種rps12遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子と連結したカセットを作成した。この遺伝子カセットは染色体への挿入・離脱が繰り返し可能なため、ラン藻ゲノムのマーカーフリー遺伝子置換が行える。