日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

キュウリ発芽時のペグ形成過程における細胞内構造変化
*田中 章子金子 康子松島 久鎌田 源司高橋 秀幸
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 579

詳細
抄録
キュウリの種子が発芽するときに、ペグと呼ばれる突起様構造が形成され、これがレバーとして働き、子葉から種皮をはがす。地上で水平に置いた種子では、重力により上側でのペグ形成が抑制され、下側(重力方向)に1個だけペグが形成されることが分かっている。本研究では、キュウリ種子の発芽過程で重力方向の感受から、ペグ形成の制御にいたるまでの細胞内構造変化を明らかにすることを目的とした。
 キュウリ種子は硬い種皮を持ち、発芽初期には固定液の浸透が困難であったので、新たな実験系の作製を試みた。吸水開始後4時間目の種子から種皮を除いた後、カミソリで根端部を約0.5mm、子葉とさらに茎頂部も約0.2mmを切り取った。残りの胚軸・幼根の一部(長さ約2.2mm)を水平に置いたところ、重力方向にペグを1個形成した。ペグの形成時期、大きさとも通常の種子を発芽させた場合とほとんど変わらなかった。根は重力屈性を示さなかった。この実験系を用いて、細胞内構造の変化を光学顕微鏡と電子顕微鏡により観察した。吸水開始後4時間目には見られなかった顕著なデンプン粒の蓄積が、吸水開始後8時間目にまず表皮および表層部で観察された。ペグの形成が確認できる24時間目以降には維管束鞘細胞にデンプン粒の集中が見られた。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top