日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナにおける根端優勢が弱い突然変異体の単離と解析
*黒羽 剛岡田 清孝佐藤 忍
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p. 584

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抄録
 高等植物の不定根及び側根の形成には、茎あるいは根を切断することによりその上部での根の形成が誘導される、頂芽優勢に対応する「根端優勢」という現象が見られる。これには主に地上部から輸送されたオーキシンや傷害等が関与していることが知られている。一方、我々の研究により、根がサイトカイニンの一種であるトランスゼアチンリボシドを生産し導管を介して上側へ運ばれることによって、地上部での根の形成を抑制している可能性が示唆されている。本研究では、根の抑制的な制御機構に着目し、シロイヌナズナにおいて根端優勢が弱まった、つまり不定根や側根の形成が多く見られる突然変異体の単離及びその解析を試みた。ar-C12は不定根の形成が著しく、葉の上偏成長がみられ、遺伝子のマッピングを試みた結果、オーキシン生産に関わる遺伝子SUR2と同じ対立遺伝子であることが予想された。ar-C22は主根の成長が途中で停止し、側根を全く形成しない代わりに、胚軸上部から正常に伸長する不定根の形成が良く見られた。遺伝子のマッピングを試みた結果、ar-C22の原因遺伝子はサイトカイニン受容体をコードする遺伝子CRE1/WOLと同じ対立遺伝子であることが予想された。また、rot302は根の伸長が遅く、根の分枝が野生型よりも早い段階で見られ、さらに不定根の形成も顕著にみられた。この原因遺伝子は第3染色体上部に存在すると予想され、現在原因遺伝子の同定を試みているところである。
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© 2003 日本植物生理学会
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