抄録
シロイヌナズナの根の表皮細胞は根毛細胞と非根毛細胞のいずれかに分化する。CAPRICE (CPC) 遺伝子は根毛細胞分化の正の制御因子であり、非根毛細胞で強く発現することが分かっている。非根毛細胞特異的な発現に関わる CPC プロモーター上のシス配列を同定するために、我々は欠損型 CPC プロモーターを作成してそのプロモーター活性を解析した。その結果、CPC プロモーターの -267 から -336 の領域が非根毛細胞特異的な発現に必要であることが分かった。この領域には Myb タンパク質結合配列に相同性のある配列が存在し、その配列に変異を導入したプロモーターでは非根毛細胞特異的な発現は検出できなかった。根の表皮細胞分化に関わる Myb タンパク質は WEREWOLF (WER) と CPC それ自身が知られている。また CPC の転写は wer 突然変異体では減少していることが分かっている。我々は WER タンパク質が CPC プロモーターに結合しうることを酵母の one-hybrid システムにより明らかにした。これらの結果から、WER タンパク質が直接 CPC プロモーターに結合し、CPC 遺伝子の転写を活性化していることが示唆される。