日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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BOR1を構成的に発現する形質転換シロイヌナズナはホウ素欠乏感受性になる
*三輪 京子高野 順平林 浩昭米山 忠克藤原 徹
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p. 593

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抄録
 シロイヌナズナBOR1は根から地上部へのホウ素輸送の主要な役割を担っている。BOR1を発現した酵母での菌体内ホウ素濃度の低下、根の内鞘細胞での強い発現から、BOR1はホウ素のxylem loadingに働く排出型トランスポータと考えている。
 BOR1の内鞘細胞での特異的発現の生理的意味を検証するため、BOR1 またはBOR1::GFPをCaMV 35S RNAプロモーターで発現させる形質転換体を12および20ラインを作成した。T2植物をカナマイシンを添加したホウ素濃度3μMの低ホウ素条件で生育させると、耐性を示した植物の一部で上位の葉が萎縮し、bor1-1変異株と似た生長抑制を示した。複数の独立な形質転換ラインで生長抑制が観察され、ホウ素濃度30μMでは観察されなかった。
 BOR1::GFPを発現する形質転換体でGFPの蛍光は植物体全体で観察され、western解析ではBOR1::GFPに相当するバンドが検出された。また、BOR1::GFPを発現する酵母ではBOR1を発現する酵母と同様に菌体内ホウ素濃度が低下し、GFP融合タンパク質でも細胞外にホウ素を排出する能力を維持していることを確認した。
 本来の発現部位とは異なる場所に存在するBOR1タンパクが細胞内から外へのホウ素排出を行い、地上部への正常なホウ素輸送ができないために、低ホウ素条件下で生育が阻害されたと推定している。
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© 2003 日本植物生理学会
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