日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

ヘビノネゴザの組織培養とカルスのカドミウム耐性・蓄積能
*吉原 利一荒島 由季増田 太郎後藤 文之島田 浩章
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 599

詳細
抄録
ヘビノネゴザは日本在来の重金属(特にカドミウム、亜鉛など)耐性・蓄積植物である。他の植物が生育できないような高濃度に重金属の含まれる土壌に生育できることから、鉱山のそばなどに群生し、古くは鉱脈を発見するための指標植物として利用されていたらしい。我々は、その重金属蓄積・耐性能の遺伝的背景を解明し、ファイトリメディエーション用植物の開発に資することを目的として、まず、安定的、かつ均質な増殖・育成条件を整えるためにその組織培養法の確立を行った。ここでは、カルス化と植物体再生条件、および得られたカルスにおけるカドミウムに対する耐性・蓄積能について検討を行った結果を報告する。カルス化のための外植体には、成植物体の羽葉、葉軸を用いた。MS基本培地に、シュークロースと寒天を添加し、これにカイネチンと2,4-Dの濃度を種々に組み合わせてカルス化の効率を検討した。さらに、得られたカルスについては、培地から植物ホルモンを除き、植物体再生能を検討した。さらに得られたカルスを用いて、種々の濃度でカドミウムを含むMS寒天培地、および液体培地における増殖量とカドミウムの取り込み量について検討を行った。その結果、ヘビノネゴザはカルスにおいても成植物体と遜色のないカドミウム耐性・蓄積能を示し、その能力が維管束等を介した組織依存的・外因的なものではなく、個々の細胞が持つ内因的なものであることが明らかとなった。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top