日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

クリプトゲインにおける細胞死誘導活性と脂質結合能の相関
*平沢 賢一天野 豊己塩井 祐三
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 606

詳細
抄録
ペプチド性エリシターであるクリプトゲインは10 kDaの単量体タンパク質で,効果的にタバコ細胞に過敏感細胞死を誘導する.我々はこれまでクリプトゲインの構造や,他のエリシチンのアミノ酸配列と比較して,クリプトゲインの部位特異的変異体K13V,N93Aを作製し,細胞外液のアルカリ化や細胞死の誘導能について,活性の低下率が異なることを見出してきた.
最近,クリプトゲインは脂質と結合したものが細胞死誘導活性を持つことが報告された.このクリプトゲイン-脂質複合体の立体構造は脂質を包含するシリンダーのようであり,我々が注目したLys-13とAsn-93はこのシリンダーの両端に位置する残基である.
本研究では,変異体K13V,N93Aの細胞死誘導活性の低下率と脂質結合能に相関があるかを明らかにするため,蛍光プローブであるdehydroergosterolを指標としてクリプトゲインの脂質結合能を測定した.その結果,N93Aは野生型のおよそ半分に脂質結合能が低下していた.また,K13Vはほとんど脂質と結合しないことが示された.N93Aの細胞死誘導活性は野生型の39%,K13Vは野生型の11.5%に低下していることから,変異体の脂質結合能が細胞死誘導活性に影響していると考えられる.本講演では,さらにLys-13とAsn-93の立体構造上の位置からクリプトゲインの細胞死誘導機構を考察する.
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top