日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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新規作用点を有する全身獲得抵抗性誘導化合物に関する研究
*仲下 英雄安田 美智子大蔭 礼子西岡 正憲有江 力吉田 茂男
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p. 617

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抄録
植物の自己防御反応の1つである全身獲得抵抗性(SAR)は、病原菌感染の刺激からサリチル酸(SA)生合成を介して全身に誘導されて二次感染に対して免疫的に働く。これまでに数種の低分子化合物がSAR誘導化合物として見出され、SAR誘導機構の解析に有効な分子プローブとなることが示されている。我々は、新たにピラゾール誘導体がSARを活性化して病害抵抗性を誘導することを明らかにしたので、その作用機構について解析を行った。本化合物は、タバコ、アラビドプシスにおいて強い病害抑制効果を示し、SARの分子マーカーであるPR遺伝子の発現を誘導した。また、SA内生量の上昇させたことから、SAよりも上流に作用していることが明らかになった。アラビドプシスについてマイクロアレイ解析を行った結果、遺伝子の発現誘導パターンは類似の作用機構を有するプロベナゾール(PBZ)とは異なっており、新規の作用点を有するSAR誘導化合物であることが示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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