日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

高温で発芽が阻害されたシロイヌナズナ種子におけるジベレリン合成とシグナリングに関わる遺伝子の発現
*川上 直人藤 茂雄吉田 卓弘中林 一美花田 篤志山口 信次郎神谷 勇治南原 英司
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 638

詳細
抄録
種子の発芽は、種子自身の休眠性と周囲の環境条件により決定される。温度は発芽を決定する重要な環境要因であり、シロイヌナズナ種子の発芽は高温で阻害され、低温処理で促進される。温度による発芽調節に関わる遺伝子を見出すことを目的として、シロイヌナズナ種子における遺伝子発現をマイクロアレイにより解析したところ、活性型ジベレリン合成の最終段階を触媒するGA3酸化酵素(GA3ox)遺伝子の発現が、常温(22℃)に比べて高温(34℃)で明らかに低下していることを見出した。定量PCR法を用いた発現解析により、AtGA3ox2の発現は22℃に比べ34℃で大きな低下が認められた。発芽時のGAシグナリングに関わるRGL2遺伝子の発現は、常温では吸水12時間をピークに大きく低下したのに対し、高温では24時間後まで増加し、48時間後まで高いレベルを維持した。したがって、高温で吸水したシロイヌナズナ種子では活性型GA合成の抑制とGAシグナリングを負に制御する因子の蓄積が起こり、これらが発芽の高温阻害に寄与していると考えられる。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top