日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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種子発達過程を制御する転写制御因子に支配される遺伝子発現のDNAマイクロアレイを用いた解析
*山本(豊田) 章子臼井 治子加賀谷 安章奥田 理絵伴 淳志堤田 久美子豊嶋 涼子服部 束穂
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p. 639

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抄録
種子発達は多くの遺伝子が関与する複雑な過程であって、胚形態形成、貯蔵物質蓄積、休眠性獲得といった異なる現象に関与する遺伝子群の発現が協調的に制御されている。アラビドプシスでは、これまでに種子発達を制御する転写制御因子としてLEC1、LEC2、FUS3およびABI3がクローン化されており、特にFUS3およびABI3は中期から後期胚発生において重要な役割を担うと考えられている。これらの制御因子は協同して種子発達過程における遺伝子発現を制御すると考えられているが、相互の関係や制御機構については充分に明らかにされていない。演者らは、FUS3およびABI3が制御する遺伝子発現の全体像を明らかにするため、これらの転写制御因子を異所的に過剰発現する形質転換植物体を用いてDNAマイクロアレイ解析を進めている。
 グルココルチコイド誘導性プロモーターを持つFUS3形質転換植物をDEXおよびABA処理することによりベクターのみを持つ形質転換体と比較して発現が有意に増加または減少した遺伝子は、約1万4千個のプローブ遺伝子中それぞれ数百個であった。発現が増加した遺伝子には、種子貯蔵タンパク質ならびにその蓄積に関与する遺伝子、脂質の合成・貯蔵に関与する遺伝子の他、種々のトランスポーター、ABA合成に関わる遺伝子、形態形成にかかわる転写制御因子等が含まれていた。
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© 2003 日本植物生理学会
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