日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナ種子発芽の高温阻害と、アブシジン酸合成およびシグナリングに関わる遺伝子の高温による発現誘導
*藤 茂雄中林 一美岡本 昌憲吉田 卓弘田村 典子小柴 共一神谷 勇治南原 英司川上 直人
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p. 637

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抄録
温度は種子の発芽にとって重要な環境シグナルとなっている。冬型一年性であるシロイヌナズナの種子発芽は夏の高温で抑制され、秋の低温により誘導される。私達は、アブシジン酸(ABA)合成阻害剤がシロイヌナズナ種子の高温阻害を緩和すること、種子のABA感受性が高温条件で高まることなどから、高温阻害にはABA合成の制御とシグナリングの制御の両者が関与することを示唆してきた。そこで、ABA関連遺伝子の発現に対する高温の影響を定量PCR法により調べた。ABA合成を担うZEPNCEDABA2AAO3の発現は、いずれも22℃では34℃よりも低いレベルとなり、34℃では吸水12時間以降に顕著な誘導が認められた。ABAシグナリングに関わるABI3ABI5遺伝子の発現は22℃で低下したが、34℃では顕著に誘導された。したがって、シロイヌナズナ種子ではABA合成とシグナリングに関わる遺伝子の高温による発現誘導が、ABA量の増加とABA感受性の昂進をもたらしていると考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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