抄録
ジベレリン生合成系遺伝子の発現調節に関与する転写因子RSGの核-細胞質間輸送に14-3-3タンパク質が重要な働きをしていることを前回の学会で報告した(2002年度日本植物生理学会年会)。今回、in-gel プロテインキナーゼアッセイにより、タバコ細胞破砕液細胞分画にあるRSGのSer-114残基をリン酸化するプロテインキナーゼ活性を検索した。N末端にGSTをつけた融合タンパク質としてRSGを大腸菌において大量発現、精製を行い、これをタンパク質リン酸化基質とした。タバコ緑葉マイクロソーム画分にある分子量50-60kDaのプロテインキナーゼにより、Ca2+依存的にRSGのSer-114残基がリン酸化され、膜結合性CDPKがRSGのリン酸化をリン酸化することが示唆された。タバコcDNAライブラリーからCDPK1をクローニングし、N末端にGSTを融合させたCDPK1を大腸菌で大量発現、精製した。組み換え体CDPKはRSGのSer-114残基を特異的にリン酸化することが示された。CDPK1によりリン酸化されたRSGは14-3-3タンパク質と結合することがpull-down アッセイにより示された。さらにCDPK1自身も14-3-3タンパク質と結合することが明らかとなった。これらの結果はCDPKがRSGのSer-114残基のリン酸化を介してRSGと14-3-3の結合、ひいてはRSGの細胞内局在を制御する事を示唆している。