日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナイソペンテニルトランスフェラーゼ遺伝子産物の細胞内および組織局在部位の違いによる機能分化
*上田 七重青木 考武井 兼太郎山谷 知行榊原 均
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p. 652

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抄録
イソペンテニルトランスフェラーゼ (isopentenyltransferase: IPT)はサイトカイニン生合成の初発反応を触媒する酵素である。シロイヌナズナでは7種の遺伝子(AtIPT1, AtIPT3-AtIPT8)からなる多重遺伝子族を構成している。サイトカイニン生合成調節機構を理解するためには、各IPT遺伝子産物の発現場所を詳細に明らかにすることが重要である。我々は昨年の本大会でAtIPT1, AtIPT3, AtIPT5がプラスチドに、AtIPT7はミトコンドリアに局在する可能性を示唆した。本年はさらなる細胞内局在性の解析と組織レベルでの局在部位についての結果を報告する。各AtIPT遺伝子の翻訳上流領域3~4kbとGFPの融合遺伝子を導入したシロイヌナズナの形質転換体を作製し、それらT3世代を用いて観察を行った。その結果、AtIPT1::GFPは根の伸長領域周辺の中心柱、AtIPT3::GFPおよびAtIPT7::GFP は篩部伴細胞、AtIPT5::GFPは側根形成に関与する内鞘細胞でその蛍光が観察された。また、RT-PCRの結果からAtIPT3は地下部および地上部で同程度の強さで発現しているのに対し、他の遺伝子は地下部で強い発現がみられた。以上の結果を踏まえ、各IPT遺伝子の機能について考察する。
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© 2003 日本植物生理学会
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