日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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窒素栄養によるサイトカイニン合成の制御
*武井 兼太郎上田 七重山谷 知行榊原 均
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p. 653

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抄録
窒素は最も多量に必要とされる無機栄養素であり、植物の成長・分化に様々な影響を及ぼす。植物ホルモンは外界や内的な環境の変化を伝えるシグナルとして機能するが、窒素栄養状態による成長・分化の制御にサイトカイニンが関与していると考えられている。これはサイトカイニンレベルと窒素栄養状態との間に相関関係のあることが様々な植物において報告されているからである。我々はトウモロコシやアラビドプシスにおいて窒素飢餓状態からの回復過程でサイトカイニンレベルが増加することを明らかにしている。これらのことから、窒素栄養状態によりサイトカイニン代謝系が制御されていると考えられるが、これまでそのような研究はされていなかった。
サイトカイニンの生合成の律速酵素はイソペンテニルトランスフェラーゼであると考えられている。窒素栄養によるサイトカイニン代謝の制御機構を明らかにするため、real-time PCR法でアラビドプシスにおけるIPT遺伝子(AtIPT1、AtIPT3~8)の発現解析を行った。これらの遺伝子の中で窒素飢餓状態からの回復過程でAtIPT3遺伝子のmRNA量がサイトカイニンレベルと対応して増加していた。AtIPT3遺伝子プロモーター制御下にあるGFP遺伝子の発現も窒素に対し同様の応答を示したことは、転写段階での制御が存在することを示唆している。
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© 2003 日本植物生理学会
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