抄録
昨年、50℃・30秒の熱処理で可逆的に熱失活した葉緑体・酸素発生系の光再活性化について報告し、さらに低い温度での熱失活が期待された。一方、光化学系・粒子では、塩素イオン要求性にすると45℃で酸素発生中心が熱失活出来ると報告されていたので(D. Nash, M.Miyao and N.Murata, Biochim. Biophys. Acta vol-807 (1985)127-133)、葉緑体も低調液で洗って塩素イオンを除くと、45℃で可逆的に熱失活し光再活性化出来るようになった。 この可逆的熱失活の部位が光化学系IIの酸素発生中心である事は、クロロフィル蛍光の立ち上がり現象(Fv-Fo)および酸素発生ヒル反応を測定して確認した。 この塩素イオン要求性葉緑体の熱失活は、塩素イオンとカルシウムイオンの添加で抑制・保護される興味ある特性を持つ事が分かったので報告する。