日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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高温下での光化学系II反応中心D1蛋白質の分解
*大平 聡山本 泰
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p. 667

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抄録
高等植物の光化学系II反応中心D1蛋白質は、暗条件で高温ストレス(30~40℃)を与えると、23kDaと10kDaの二つの断片を生じる。この切断は生じた断片のサイズから、還元側光阻害におけるD1タンパク質の一次分解に類似していると考えられる。そこで本研究では、ホウレンソウのチラコイド膜を用いて、高温下でのD1蛋白質の一次切断が起こる機構を詳しく調べ、還元側光阻害における一次切断と比較した。
プロテアーゼ阻害剤を用いた実験などから、高温下でのD1蛋白質の一次切断には膜表在性のセリンプロテアーゼが働き、その後の二次分解には膜内在性のプロテアーゼが作用していることが分った。これらの特徴は光化学系IIの還元側光阻害におけるD1蛋白質の一次切断および二次分解と共通しており、このことから、高温ストレスは還元側光阻害と同様の機構でD1蛋白質を一次切断する可能性が示唆された。
また、QB部位結合除草剤であるDCMU、Bromoxynil、Ioxynilを加えてチラコイドを熱処理(40℃、15分)したところ、23kDa断片の形成が著しく阻害された。この結果から、D1蛋白質の一次切断はDEループ上のQB部位の構造に強く依存しており、この構造が高温下で変化することがD1蛋白質の一次切断の原因であると考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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