日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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酵母ZRC1遺伝子の植物への導入による重金属耐性の強化
*作田 千代子渡辺 美生山崎 淳子早川 孝彦
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p. 704

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抄録
 我々はPhytoremediationに適した重金属耐性・高蓄積性形質転換植物の作製を目的とした研究を行っており、今回はタバコのZRC1形質転換体について報告する。 酵母の亜鉛トランスポーター、ZRC1(zinc resistance conferring 1)は、細胞質中の過剰な亜鉛を液胞内に取り込むことにより細胞内の亜鉛のホメオスタシスに関わっていることが知られている。またカドミウムを輸送することも明らかになっており、酵母のZRC1高発現変異体は亜鉛及びカドミウムに対し耐性を持つことが知られている。そこでカドミウム高蓄積植物の作製を目的としてzrc1遺伝子をタバコに導入しカドミウム耐性や重金属蓄積性について検討した。得られた形質転換体のタンパク質レベルでのzrc1の発現は低かったが、植物体中の蓄積濃度がコントロールと比べて高いものが認められた。蓄積濃度は高くないものの、バイオマスが顕著に大きく、その結果として総蓄積量が増加しているものも認められた。これは導入したZRC1により亜鉛やカドミウムの液胞への輸送が促進され、細胞質中での濃度が生育に影響しない濃度まで下げられていることによると考えられる。現在zrc1遺伝子の局在性とその機能、Phytoremediation への応用の可能性について検討を進めている。
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© 2003 日本植物生理学会
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