日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

葉緑体外包膜における蛋白質輸送装置複合体の解析
*菊地 真吾広橋 利哉中井 正人
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 714

詳細
抄録
 高等植物葉緑体を構成する蛋白質の大部分は核ゲノムにコードされており、サイトゾルで葉緑体行きの局在化シグナルが付加された前駆体として合成されたのち、葉緑体へ輸送される。この輸送には葉緑体外包膜および内包膜に存在する蛋白質輸送装置、Toc、Tic複合体が関与している。
 演者らは昨年度の本年会において、Toc複合体はBlue-Native電気泳動により分子サイズ700-800Kに泳動される位置に、Toc34, Toc75, Toc159のいずれをも含むバンドとして検出されることを報告した。今回、さらにこれらTocコンポーネントによる複合体構築様式を明らかにするため、まず、エンドウ葉緑体における各コンポーネントの存在量の概算を行い、その存在比を見積もった。次に、無傷葉緑体をプロテアーゼ消化することによりToc複合体の限定分解をおこないBlue-Native電気泳動で解析した。その結果、Toc複合体は段階的に分子サイズを下げ、コアを形成すると考えられる複合体が観察された。また、それに伴いTocコンポーネントの部分的な解離が起こることもわかった。演者らはこれまでにアラビドプシスにおけるこれらの輸送装置コンポーネントをコードする遺伝子についてT-DNA挿入変異体を単離してきており、これらの変異体において輸送装置複合体のサイズと分子構成に変化があるのかを解析中である。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top