Journal of Traditional Medicines
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Antitumor activity of Panax ginseng-fruit extract (PG-FE) on Sarcoma-180 bearing mice is based on its cytokine productive effect
Michio NISHIHan Sun CHANGFumio ISHIKAWAToshimitsu UCHIYAMA
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2004 年 21 巻 5 号 p. 221-230

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抄録
本研究は高麗人参果実部 [Panax ginseng-fruit extract (PG-FE)] の抗腫瘍作用を再確認すること, および, その抗腫瘍効果をサイトカイン産生の見地から検討することを目的とした。 ICR マウス (雌, 7 週齢) を用い, PG-FE (50mg/kg/day, p.o.) を 10 日間前投与し, その投与終了翌日に腹腔内 【腫瘍抑制率の検討, T 細胞サブセット [cluster of differentiation (CD)4+ および CD8+ T 細胞, helper T (Th) 1および Th2 細胞], サイトカイン測定を目的とする】, または腋窩皮下 (延命率の検討を目的とする) に, Sarcoma-180 (S-180) 2×106 または, 1×103 個を移植した。 S-180 移植後, 1 および 7 日目に各々の測定項目を検討した。 麻酔下に, 末梢血 CD4+ および CD8+ T 細胞を測定し, その他の項目は脾臓摘出後, 24 時間培養した脾臓浮遊細胞液において測定した。 CD8+ T 細胞と Th 細胞は, モノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリー法で測定した。 Interleukin (IL)-12, tumor necrosis factor (TNF)-α, interferon (INF)-γは enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 法により, IL-2 は cytotoxic T-lymphocyte line-2 (CTLL-2) 細胞カウント法により測定した。 PG-FE は, 移植 15 日目において, 腫瘍重量を 37.2 %減少させた。 また, 28.7 % の延命効果を示した。 S-180 移植により減少した CD4+/CD8+T 細胞比は, 移植 1 日目の PG-FE において抑制されたが, 移植 7 日目には影響を受けなかった。 S-180 移植により減少した Th1/Th2 細胞比は, 移植 1 日目の PG-FE において影響を受けなかったが, 移植 7 日目には抑制された。 S-180 移植により減少した IL-12 は, 移植 1 日目および 7 日目の PG-FE において抑制傾向にあった (各々, p= 0.2523, p= 0.0937)。 S-180 移植により増加した TNF-αは移植 1 日目の PG-FE においてさらに増加したが, 移植 7 日目には減少した。 S-180 移植により影響を受けなかった IFN-γと IL-2 は, 移植 1 および 7 日目の PG-FE において共に増加した。
上記の結果は PG-FE がCD4+/CD8+T 細胞比および Th1/TH2 細胞比の双方の減少を抑制すること, IL-12, TNF-α, IFN-γ, IL-2 の産生を増加することを示しており, PG-FE の抗腫瘍活性がそのサイトカイン産生作用に基づくことを示唆する。
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© 2004 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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