日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

イネの2種類のインポーチンβ の機能分化について
*馬場 晶子山本 直樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 716

詳細
抄録
インポーチンβ は、核移行シグナル(NLS)を持つ核蛋白質を、細胞核内へと運ぶ核輸送蛋白質である。NLSを持つ核蛋白質は、NLS受容体であるインポーチンα、インポーチンαと結合するインポーチンβ と、細胞質側で3者複合体を形成し、インポーチンβの機能により核膜孔を通過して核内へと移行する。植物細胞の核輸送系を解析するために、私たちはイネからインポーチンβのcDNAを2種、クローン化した。これは植物のインポーチンβ についての唯一の報告であるとともに、2分子種のインポーチンβ が同定された初めての例である。現在までに、酵母からヒトに至る様々な真核生物からインポーチンβ が単離されているが、イネ以外の生物種からは単一分子種のインポーチンβ しか同定されていない。このことから、私たちは2分子種のインポーチンβ が存在することの意義に関心を寄せている。両インポーチンβ分子間の差異を明らかにするために、(1)GFP融合蛋白質を用いたインポーチンβ の細胞内分布の解析(2)GST pulldown assayによるインポーチンβ とインポーチンα遺伝子との結合能の比較(3)Northern解析による遺伝子発現様式の比較を行い、両インポーチンβ間の機能分化を示唆する結果を得た。本大会ではこれらの結果について報告する。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top