抄録
哺乳動物や酵母において、ペルオキシソーム形成因子(ペルオキシン)が同定されている。植物でも、哺乳動物や酵母のペルオキシンと相同性のある遺伝子の存在が明らかになりつつあるが、その機能については不明な点が多い。多くのペルオキシソームタンパク質はC末端またはN末にあるターゲティングシグナル(PTS1、PTS2)がPTSレセプター(Pex5p、Pex7p)に認識され、ペルオキシソーム膜上の輸送装置に結合することによってペルオキシソームへ輸送されることが示唆されている。
これまでに、ペルオキシソームタンパク質の一つであるカタラーゼ(カボチャカタラーゼ:Cat1)について、そのターゲティングシグナルを同定するとともに、酵母two-hybrid系を用いたPTS1レセプター(Pex5p)との結合解析の結果からCat1がPTS1系によって輸送されることが示唆された。今回、ペルオキシソーム膜上の輸送装置の一部で、C末にRINGフィンガーを持つペルオキシンPex10p、Pex12p等に焦点をあて、タバコを材料としてこれらのcDNAのクローニングを行った。また、アンチセンス法を用いてこれらの発現を抑制したタバコ形質転換体を作成し、カタラーゼの輸送を解析した。