日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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単細胞緑藻Chlamydomonas reinhardtiiのarylsulfatase分泌機構の形態学的解析
*中前 伊公子加藤 祥子野口 哲子鍵和田 聡
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p. 718

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抄録
緑藻Chlamydomonas reinhardtiiは硫酸イオン欠乏条件下で細胞外にarylsulfatase(ARS)を分泌する。我々はこのARSを分泌蛋白質のマーカーとして用いて、単細胞緑藻の蛋白質分泌機構を研究し、各種薬剤に対する感受性から、微小管に依存し、高等植物細胞よりも動物細胞に類似した機構によりARSが分泌されることを報告した(昨年度年会)。
今回、ARSの輸送機構を形態学的に調べるために、抗ARSポリクローナル抗体を作製し、ARSの分泌部位を蛍光抗体法で調べた。その結果、ARS分泌を誘導した細胞では、鞭毛基部付近に点状の強いシグナルが観察されたが、分泌誘導を行っていない細胞やoryzalin(微小管重合阻害剤)処理した細胞では、特異的シグナルは見られなかった。この結果は、ARS輸送が微小管に依存した極性輸送であることを示唆する。また、他の生物種で蛋白質輸送に関与する蛋白質の影響を調べるために、ERからの輸送小胞の形成に必要な低分子量GTP結合蛋白質SAR1の相同遺伝子をクローニングし、動物細胞や酵母で明らかになっている優性変異を導入した変異型SAR1遺伝子を作製した。
現在、各種薬剤や変異型SAR1遺伝子が輸送小胞やオルガネラ(ゴルジ体やERなど)の形態・局在に対する影響を電子顕微鏡による微細構造観察により解析している。
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© 2003 日本植物生理学会
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