日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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アポトーシス促進因子Baxによる植物細胞死の解析
*吉永 恵子川合 真紀内宮 博文
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p. 729

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抄録
 動物細胞においてアポトーシスの調節因子としてBcl-2 ファミリーが知られている。その中のBaxはアポトーシス促進因子である。近年、酵母や植物でもBaxが細胞死を誘引することが報告され、生物種を超えた共通の細胞死機構が存在すると考えられる (Kawai et al., PNAS 2001)。我々はBaxが植物にどのような細胞死を引き起こすかを調べるため、Baxを発現する形質転換シロイヌナズナとミトコンドリアや葉緑体への移行シグナルを有するGFPを発現するシロイヌナズナとの交配種を作出した。これらの植物体はDEX処理によるBax発現後、ミトコンドリア運動性の消失と形態変化、葉緑体からのGFP漏出を引き起こした。その後、液胞が崩壊し、白色化により死に至った。暗所でも明所と同様にオルガネラの変化がみられ細胞死を起こした。また、光合成を行わないシロイヌナズナ培養細胞においてもBax の発現により細胞死が誘発された。これらの結果から、植物におけるBax誘導性細胞死に発達した色素体や光は関与しないが、細胞死の初期における細胞小器官の形態変化が示された。
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© 2003 日本植物生理学会
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