抄録
ミヤコグサ根粒菌Mesorhizobium loti MAFF303099株の全ゲノム塩基配列情報(7.6 Mb, 7281 ORFs)に基づいて、M13リソースから3832クローンを選択し、ほぼ全ゲノムをカバーするマクロアレイを作成した。ミヤコグサ根粒菌の培養菌体、炭素飢餓状態の菌体、嫌気条件下の菌体、及び、根粒中のバクテロイドから抽出したRNAを鋳型として33P標識cDNAを合成しターゲットとして使用した。ハイブリダイゼーション後、各アレイスポットのシグナル強度をデジタル化し、それぞれの状態での遺伝子発現を染色体地図上に示した。その結果、全遺伝子の発現状況を俯瞰することが可能となり、また、これまでの分子遺伝学的手法では捉えることのできなかった遺伝子を、重要遺伝子の候補として挙げることができた。これらの候補遺伝子については、real time RT-PCRにて発現量の変化を再確認したうえで、遺伝子破壊株の作出とその表現型の解析に取り組んでいる。