日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ミヤコグサの根、及び根粒におけるRNAi
*熊谷 浩高下村 憲司朗田島 茂行河内 宏
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p. 747

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抄録
 RNAi(RNA interference)は細胞内に二本鎖RNAを導入することによって配列特異的にmRNAの減少を引き起こさせる手法であり、生物が持つ防御機構の一つであるRNA silencingを利用している。マメ科植物-根粒菌共生系の遺伝子機能解析にRNAiを応用することを目指し、ミヤコグサを用いたモデル実験を行った。
 あらかじめβ-glucuronidase(GUS)遺伝子で形質転換したミヤコグサ株に毛状根形質転換法を用いてGUS遺伝子の部分配列を含む二本鎖RNA発現遺伝子を導入した。X-Glucuronideを用いて活性染色した結果、形質転換根は染色されず、対照としてベクターのみで形質転換した根は青く染色された。根粒菌感染後約一週間の根粒でも同様の結果であった。GUSの活性量を測定した結果、70%の形質転換根でGUS活性は検出されなかった。形質転換根を持つ個体の葉のGUS活性は平均25-30%に低下していた。根粒の感染細胞特異的に強いGUS活性を持つ株から形質転換根を誘導し、根粒菌接種後2週間の根粒を採取してGUS活性を測定した。その結果、形質転換根のうちそれぞれ70%からの根粒でGUS活性は検出されなかった。
 以上の結果から、毛状根形質転換法を用いた系においてミヤコグサの根及び根粒でRNAiが有効に機能することが示された。
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© 2003 日本植物生理学会
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