日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ソラマメ孔辺細胞において細胞膜H+-ATPaseのC末端領域と相互作用する蛋白質の単離
*野口 聡利木下 俊則江見 崇島崎 研一郎
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p. 78

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抄録
青色光は孔辺細胞の細胞膜H+-ATPaseを活性化し、気孔開口の直接の原因となるK+取り込みの駆動力を形成する。青色光によるH+-ATPaseの活性化はC末端のリン酸化とリン酸化C末端への14-3-3蛋白質の結合により引き起こされる。本研究では活性調節に重要な役割を果たすH+-ATPaseのC末端領域と相互作用する新規蛋白質の単離を目的として、VHA1のC末端領域(846-951 aa)を用いたソラマメ孔辺細胞cDNAライブラリーの酵母Two-hybridスクリーニングを行なった。4.2 x 107クローンのスクリーニングの結果、8個の陽性クローンを得た。このうち5クローンは未知の蛋白質であり、3クローンはソラマメの14-3-3蛋白質のvf14-3-3aとvf14-3-3dであった。以前の研究で孔辺細胞にはvf14-3-3a、b、c、dの少なくとも4つのアイソフォームが発現しており、vf14-3-3aが細胞内でH+-ATPaseと結合することが示されている。本研究の結果はvf14-3-3dも細胞内でC末端と結合することを示唆するものである。また、vf14-3-3aはvf14-3-3dよりC末端との結合強度が4倍程度高く、アイソフォーム間で親和性が異なることも明らかとなった。C末端と14-3-3蛋白質の結合はC末端から2番目のThr950のリン酸化が必須であることが示されている。そこで、Thr950をAlaに置換したところ、vf14-3-3a、dともにC末端と結合しなかった。よって、Thr950は酵母内でリン酸化されvf14-3-3と結合していると考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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