日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナ塩ストレス高感受性変異体sos2-1およびsos3-1の栄養生長期における遺伝子発現プロファイルの解析
*亀井 綾子梅澤 泰史関 原明Jian-Kang Zhu篠崎 一雄
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p. 87

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抄録
 塩ストレスは植物にとって重要な環境ストレスのひとつである。近年塩ストレス高感受性(sos)変異体 (sos1, sos2, sos3)がシロイヌナズナで単離された (Zhu, 2000)。本研究では、sos2-1およびsos3-1変異体のマイクロアレイ解析を行った。
 シグナル比が3倍以上のものを塩ストレス誘導性遺伝子とした場合、野生株では347個、sos2-1では157個、sos3-1では125個の塩ストレス誘導性遺伝子を検出した。その中で、乾燥・塩ストレス誘導型転写因子のDREB2A、その下流のターゲット因子であるRD29ARD17遺伝子は、sos2-1およびsos3-1変異体において野生株と同様に塩ストレスにより発現が誘導された。したがって、SOS pathwayはDREB pathwayとは独立したシグナル伝達経路であることが明らかになった。一方、野生株では発現誘導が確認されたSOS1遺伝子、転写因子、機能未知の遺伝子がsos2-1、sos3-1変異体では塩ストレス誘導性遺伝子として検出されなかった。この結果は、これらの遺伝子がSOS pathwayの発現制御を受けていることを示唆している。マイクロアレイで得られたSOS pathwayの下流の候補遺伝子についてノーザン解析による確認と合わせて報告する。
Jian-Kang Zhu (2000) Plant Physiology 124:941-948
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© 2003 日本植物生理学会
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