日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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過剰水分条件でリチャードミズワラビの栄養葉に発現する新規17-kDa蛋白の性質
*山口 真弘浅水 哲也中山 耕造蒲池 浩之井上 弘
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p. 92

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抄録
植物における水分ストレスのうち,湛水については,根の酸素不足に関連する研究は多いが,葉における応答の研究は少ない。水生シダ植物の一種であるリチャードミズワラビは,高水分条件下では,幅広い栄養葉を維持する傾向にあるが,乾燥状態になると細く巻いた胞子葉が多くなる。昨年の本大会において,栄養葉では,分子サイズ17kDaの蛋白が多いこと,その蛋白の全アミノ酸配列を明らかにしたこと,相同性検索では有意に相同性のある遺伝子は挙がってこないことを報告した。
 今回,ウエスタン解析を行った。成熟蛋白のN末端にHisタグを付けたものを大腸菌で発現させ,封入体から目的蛋白を精製し,ウサギでポリクローナル抗体を作成した。植物をSDS-PAGEの試料可溶化液で磨碎した遠心上清を分析試料として用いた。リチャードミズワラビの栄養葉の幅広い葉では,前駆体蛋白と成熟蛋白に対応する2本のバンドが出たが,根と茎においてはバンドは検出されなかった。完全に巻いた胞子葉では,バンドは検出されなかった。他の種類の植物については,日本産ミズワラビでは,リチャードミズワラビと似た分子サイズの位置にバンドが見られた。シロイヌナズナでは,全く検出されなかった。これは,相同性検索で全くヒットしないことと矛盾しない。コケ類でもバンドは見られなかった。他種のシダ植物では,異なる分子サイズのバンドが出現するものもあった。
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© 2003 日本植物生理学会
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