抄録
植物の細胞質分裂の制御に関わるMAPキナーゼカスケードと微小管の構築
タバコの NPK1 は、細胞質分裂を制御する MAP キナーゼ・キナーゼ・キナーゼである。本研究では、NPK1 の下流に存在する NQK1 MAP キナーゼ・キナーゼと NRK1 MAP キナーゼを同定・単離した。これら3つのプロテインキナーゼは、細胞周期のM 期の後期に活性化される。さらに、フラグモプラスト微小管の重合を阻害すると、それらの活性は急速に低下した。また、種々の手法によりNQK1 の働きを抑制すると、細胞質分裂の停止や植物の成長阻害が見られた。したがって、NQK1 は、NPK1 と同様に、植物細胞の細胞質分裂を制御する因子であると考えられる。また、これらの因子の活性化は、フラグモプラスト微小管の構築と深く関わっていると考えられる。
参考文献
1. Nishihama et al., Genes & Development 15: 352 (2001)
2. Nishihama et al., Cell 109: 87 (2002)