日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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アサガオおよびシロイヌナズナの重力屈性変異体における回旋運動
*高橋 秀幸畑田 泰子鎌田 源司
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p. S59

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抄録
 シダレアサガオは、シュートの重力屈性を欠損した突然変異体であることが知られている。われわれは、このシダレアサガオのシュートが重力屈性を欠損するのは、重力受容細胞として機能すると考えられる内皮細胞が正常に分化しないためである可能性を見出した。このシダレアサガオのシュートは正常な光屈性を発現し、また、根は正常に重力に応答する。一方、野生型アサガオは比較的大きな回旋運動を示すが、シダレアサガオは、わずかに直線的な運動を示すだけで、回旋運動にも異常を生じた突然変異体であることがわかった。そこで内皮細胞が重力屈性と独立して回旋運動の制御に関与するものかどうかを明らかにするために、シロイヌナズナの重力屈性突然変異体の回旋運動を解析した。その結果、内皮細胞欠損突然変異体のsgr1-1/scr-3およびsgr7-1/shr-2だけでなく、pgm-1およびaxr2-1突然変異体の回旋運動も野生型に比較して著しく抑制されていることが明らかになった。これらの結果から、重力屈性が回旋運動に重要な役割を果たし、内皮細胞は重力応答を介して回旋運動の制御に関与するものと考えられた。アサガオは、蔓性植物で大型の回旋運動を示すこと、また、シダレアサガオが支柱に巻き付く能力をも欠損していることから、回旋運動と重力屈性および回旋運動と蔓の巻き付き現象の関係にかかわるメカニズムの解明に有用であると考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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