抄録
ホウ素は植物に必須な元素で,動物や酵母でも必須性を示す報告がなされつつある。シロイヌナズナbor1変異株はホウ素欠乏に感受性である。地上部のホウ素濃度が低く,ホウ素の吸収実験によって,導管への積極的なホウ素の輸送能が欠損していることがわかった。ポジショナルクローニングによって同定したBOR1遺伝子は704アミノ酸からなる10個の膜貫通領域を持つと推定されるタンパク質をコードしていた。BOR1とGFPとの融合タンパク質をタバコ表皮細胞で発現させると,GFPは細胞周辺部に局在したことから,BOR1は細胞膜に局在すると推定した。酵母でBOR1を発現させると,菌体のホウ素濃度が低下した。このことはBOR1が排出型のトランスポーターであることを示している。BOR1遺伝子のプロモータはpericycleで強く発現することから,BOR1はホウ素の導管への積極的な積み込みに必須な遺伝子であると考えられる。BOR1は生物界で初めて同定されたホウ素のトランスポーターであり,酵母の相同遺伝子YNL275wもホウ素トランスポーターであることが明らかになった。多種の植物や酵母,動物でBOR1の相同遺伝子が存在しており,生物界で広くホウ素輸送に関わっている可能性が考えられる。