日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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受精を遂行する雌雄配偶体インターラクションの機構
*東山 哲也三角 修己黒岩 晴子黒岩 常祥
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p. S82

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抄録
高等植物が重複受精を遂行するためには、花粉管と胚嚢のあいだの精確な雌雄配偶体インターラクションが必須である。しかしその生理分子機構は、厚い雌蕊組織に阻まれて、ながらく不明であった。我々は、胚嚢が裸出するトレニアを用いてin vitro重複受精系を開発することにより、はじめて胚嚢から拡散性の花粉管ガイダンス分子が放出されている証拠を得た(Higashiyama et al. 1998, Plant Cell)。さらにマイクロレーザーで狙った細胞を破壊することにより、卵細胞のわきにある2つの助細胞からこの物質が出ていることを突きとめた(Higashiyama et al. 2001, Science)。この物質は、従来提唱されてきたカルシウムイオンや、シダの精子の誘引物質であるリンゴ酸などとは異なる物質だった。そして、近縁のアゼトウガラシ属(ウリクサおよびアゼトウガラシ)の裸出胚嚢にはトレニアの花粉管が全く反応しないなど、種特異性も認められた(Higashiyama et al. 2003 Curr. Opin. Plant Biol.)。現在マイクロピペットを用いたアッセイ系により、物質の化学的性質を明らかにすることを目指している。胚嚢に進入した花粉管は、助細胞の間で激しく内容物を放出し、重複受精が遂行される(Higashiyama et al. 2000 Plant Physiol.; 2002, J. Plant Res.)。受精過程における2つの精細胞の動態を捉える最近の試みについても紹介したい。
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© 2003 日本植物生理学会
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