抄録
硫黄欠乏下でGFP蛍光を増す形質転換シロイヌナズナNOBをEMS処理したM2植物から、nbm2(NOB mutant 2) -1, 2を単離した。nbm2は、硫黄通常条件でNOBよりもGFP蛍光が強かった。マッピングを行ったところ、nbm2は第三染色体上腕の55kbの範囲に存在していた。この領域の10個の遺伝子のうちの一つ、BIG遺伝子の変異株(Gil et al. 2001)は、根の形態等の表現型がnbm2に似ていた。通常条件で14日間栽培したnbm2-1, 2それぞれのゲノムにおいてBIG遺伝子のORFには、ナンセンス変異があった。nbm2-2の葉の硫黄代謝関連化合物を定量したところ、硫酸イオンとグルタチオンの蓄積量は変化せず、硝酸イオンは減少していた。また、システインが減少し、γ-ECが増加している傾向が見られた。γ-EC合成酵素のmRNAの蓄積量は、nbm2で増加していた。big変異株では、オーキシンの極性輸送が抑制されていると報告されている。NOBをオーキシン処理しても、葉の蛍光は増加しない(Ohkama et al. 2002)が、極性輸送と硫黄欠乏応答に関連がある可能性も考えられ、検討を進めている。
Gil et al. (2001) Genes Dev. 15, 1985-1997: Ohkama et al. (2002) PCP 43, 1493-1501