日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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サイトカイニンによる硫酸イオン吸収の制御
*丸山 明子中村 有美子高橋(渡部) 晶子山谷 知行高橋 秀樹
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p. 007

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抄録

硫黄欠乏下で植物は、硫酸イオンの吸収活性を増すことでより多くの硫酸イオンを獲得しようとする。シロイヌナズナではSULTR1;1, SULTR1;2という二つの高親和型硫酸イオントランスポーター(SULTR)が外界からの硫酸イオン吸収を担っている。硫黄源以外の要因として、窒素や炭素のレベルによる硫酸イオン吸収活性の制御が知られている。近年植物ホルモンによる窒素・リン代謝の制御が報告されており、硫黄代謝においても植物ホルモンが何らかの役割を果たすことが推察される。SULTR1;2 5ユ領域の制御下にGFPを発現させた形質転換植物では、GFPの蓄積が内生SULTR1;2の発現を反映する。この植物を用いて、各種植物ホルモンのSULTR1;2発現に対する影響を調べたところ、GFPの蓄積、SULTR1;2発現ともにサイトカイニンにより著しく抑制された。硫酸イオンの吸収活性もサイトカイニンにより抑制され、さらにcre1-1植物では、その抑制の程度が減少していた。また、SULTR1;2欠損変異体を用いて、SULTR1;1も同様の制御を受けることを明らかにした。しかし、硫酸イオン濃度の減少に伴うSULTR遺伝子の発現誘導はLer, cre1-1の間で違いがなく、硫黄栄養とサイトカイニンは独立の機構で硫酸イオン吸収を制御していることが示唆された。

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© 2004 日本植物生理学会
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