日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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鉄欠乏誘導性シスエレメントIDE1、IDE2の同定
*小林 高範吉原 利一中山 優子板井 玲子中西 啓仁森 敏西澤 直子
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p. 008

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抄録

オオムギの鉄欠乏誘導性遺伝子IDS2 (iron deficiency specific clone no. 2) のプロモーター領域の鉄欠乏応答性を形質転換タバコの系を用いて解析した。欠失解析および変異解析の結果、新規の2つのシスエレメント、すなわち翻訳開始点を+1として数えたとき -153/-136領域のIDE1 (iron-deficiency-responsive element 1) および -262/-236領域のIDE2が主に同プロモーターの鉄欠乏応答性を制御していることが明らかとなった。IDE1とIDE2は協同的に鉄欠乏誘導性・根特異的発現を付与したが、それぞれ単独ではこれらの特性を示さなかった。主要な発現部位は根の内鞘細胞、内皮細胞および皮層細胞であった。IDE2はIDE1と相同性を持っていた。また、検索の結果、IDE1 と相同性のある配列がオオムギ、イネ、シロイヌナズナの多くの鉄欠乏誘導性遺伝子のプロモーターにも存在することが明らかになった。このことから、鉄欠乏誘導性のシスエレメントが多くの遺伝子や植物種において保存されている可能性が示された。IDE1とIDE2は、高等植物の微量要素欠乏誘導性に関与するシスエレメントとして同定された最初のものである。

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© 2004 日本植物生理学会
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