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シダ植物のヘビノネゴザは重金属集積植物として知られ、高濃度の重金属を植物体内に蓄積する。一般にシダ植物は、独立した配偶体世代を持つが、ヘビノネゴザの配偶体が重金属に耐性があるかどうかは不明である。そこで本研究では、ヘビノネゴザの胞子発芽や配偶体の初期発生における重金属の影響を調べた。
最初に、鉛、カドミウム、銅、亜鉛およびヒ素の胞子発芽に対する影響を調べた。結果は、ヘビノネゴザの胞子がこれら有害金属の存在下(10-5-10-4M)においても、高い発芽能力を持っていることを示していた。なお、ヒ素に関しては、モエジマシダの胞子が最も高い発芽能力を示した。また、10μMの鉛イオン存在下においてもヘビノネゴザの配偶体は、その初期の生長においてほとんど影響を受けなかった。次に、10μMの鉛イオン存在下で培養したヘビノネゴザの配偶体において、配偶体への鉛の蓄積量を調べた。ヘビノネゴザの胞子体は、その植物体内に高濃度の鉛を蓄積する性質を持っているが、配偶体においても、高濃度(23,337 mg/kg)の鉛を蓄積する能力を有していることが分かった。ロジゾン酸ナトリウムによる染色像から、ヘビノネゴザの配偶体は仮根に鉛を蓄積していることが明らかになった。よって配偶体では、仮根に鉛を蓄積して鉛を無毒化しているものと思われる。現在、仮根における鉛の局在性について電子顕微鏡レベルでの解析を行っている。