日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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プラスチドRNAの翻訳制御配列の広域的な解析
*中村 崇裕杉浦 昌弘
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p. 014

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抄録

葉緑体は、光合成を行う植物固有の細胞小器官で、独自のゲノムとその遺伝子発現系を持つ。葉緑体遺伝子の発現における最終的なタンパク質合成量は、転写レベルやRNAの蓄積量にあまり影響を受けず、翻訳レベルに依ることが明らかにされているが、葉緑体の翻訳過程の分子機構は不明な点が多い。
葉緑体は原核生物型の細胞構造を有するが、葉緑体遺伝子の翻訳は、原核生物のそれとは大きく異なる。原核生物のmRNAでは5'非翻訳領域のシャイン・ダルガーノ(SD)配列が30Sリボソーム中の16S rRNAと相互作用することによって、翻訳が開始される。しかし、葉緑体mRNA(全79種)中の2/3はSD配列を持たず、これらのmRNAがどのような翻訳機構に依存するかは不明である。
そこで、様々な育成段階のタバコから抽出したプラスチド全RNAとポリソーム画分に含まれるmRNA(翻訳されているmRNA)を葉緑体DNAマイクロアレイにより解析し、翻訳が活性化されているmRNA中の5' 及び3'UTRの保存配列の抽出を進めている。現在までに葉緑体in vitro翻訳系などを用いて明らかにされている翻訳シス配列と比較して、葉緑体mRNAの翻訳に必要な配列に関して議論する。

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© 2004 日本植物生理学会
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