日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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子葉特異的葉緑体形成不全を引き起こす変異遺伝子の解析
*鈴木 健二中西 弘充山本 義治田口 悟朗小島 峯雄林田 信明
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p. 016

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抄録
植物における子葉の役割は多岐にわたる。本葉が展開するまでに必要なエネルギーの生産や、周囲の光・生育条件などの環境シグナルを受信し適応する、といった重要な働きをしている。子葉は、高等植物の発生における初期に位置し、本葉とは一線を画す存在であり、その機能の全容は明らかになっていない。
wcoは子葉が白色で展開し、本葉からは正常な葉が展開する変異体である。以前の解析によって、子葉特異的に16S rRNAの成熟欠損が引き起こされることが明らかになっている。16S rRNAは葉緑体にコードされる遺伝子を翻訳する際に必要となるが、wco変異体の子葉では、葉緑体にコードされる光合成関連遺伝子の発現は抑制されていた。さらに核にコードされる光合成関連遺伝子の発現には、野生株と比べて変化は見られなかった。
クロロフィル合成系はどうなっているのか、なぜ本葉は緑になるのか、といった多くの疑問が発生してくる。そこで、wcoをよりくわしく解析するために、原因遺伝子の特定のための遺伝子学的解析と、wco変異表現型の生理学的解析を行ったので報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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