抄録
デンプン顆粒結合型アミロース合成酵素をコードするイネWx遺伝子は花粉・胚乳で組織特異的に発現する。我々は、intron-spacerを持つWx 5'UTR dsRNAを転写するベクター、pWRI-Aおよび pWRI-Bを構築した。これらを導入した形質転換体を解析し、組織特異的なRNAiとその抑制効果の量的制御について検討した。その結果、pWRI-Aおよび pWRI-B双方とも、約140塩基から成る5'UTRのdsRNAをtriggerとして、胚乳におけるWx遺伝子の発現を抑えることが可能であった。さらに、イントロン5'側スプライシング部位に置換変異を持つpWRI-Bを導入した系統では、遺伝子不活性化を量的に減ずる事が可能であった。他方、いずれにおいても、花粉における強い抑制効果は観察されなかった。
今回、intron-spacer及びforeign sequence-spacerのRNAiに対する効果について、種々のベクターを設計することにより、さらに検証を試みたので報告する。