日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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CRES-Tシステムを用いたTCP転写因子の機能解析
*小山 知嗣平津 圭一郎高木 優
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p. 036

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抄録

転写因子は標的遺伝子の発現を精巧に調節するための転写制御ネットワークを形成することにより植物の器官形成や環境応答を制御する。従来、転写因子の機能を明らかにするために遺伝子破壊株の単離やアンチセンス法、RNAi法などが行われてきた。しかし、転写因子は重複して存在する場合が多く、1遺伝子の機能のみを阻害する従来法を用いた解析において顕著な形態異常を示す例は限られていた。そこで、我々は任意の転写因子にEAR転写抑制ドメインを融合したキメラ転写抑制因子を植物内で発現させることにより、重複する内在転写因子に優先して標的遺伝子の発現を抑制することができる新規な転写因子の機能解析法CRES-Tシステムを構築した。
CRES-Tシステムを用いて植物特異的な転写因子ファミリーTCPの機能解析をするために各TCP転写因子を転写抑制因子に転換したキメラ転写抑制因子を発現させた形質転換植物を作製した。その結果、TCPキメラ転写抑制因子は芽生えや葉においての器官形成の異常を誘導することが明らかになった。一方、TCP転写因子を過剰発現した形質転換植物は同様の形態異常を示さなかった。この結果から内在するTCP転写因子は正常な胚発生や葉の形態の維持に必要であると考えられる。

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© 2004 日本植物生理学会
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