日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オーキシンによって誘導されるYDK1遺伝子は根で強く発現する
*高瀬 智敬中澤 美紀石川 明苗高橋 直紀島田 浩章眞鍋 勝司松井 南
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p. 046

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抄録
 GH3 遺伝子はオーキシンによって誘導される遺伝子として最初にダイズより単離が報告された。シロイヌナズナのゲノムには20のGH3 遺伝子ファミリーが存在しており、その一つであるYDK1 遺伝子の優性変異株、ydk1-D は明所で胚軸の伸長が抑制され、成長した植物体は矮性を示す。また、この変異株は主根の伸長が抑制され、側根の数も野生株に比べて少ない。YDK1 遺伝子の発現はオーキシン処理によって誘導され、この制御にはARF7が関わっていることが分かった。本研究では、YDK1 遺伝子発現の制御についてさらに詳しい解析をおこなった。
 GUS レポーター遺伝子を用いた解析では、YDK1 遺伝子はシロイヌナズナ実生のほぼ全ての組織で発現していたが、特に根での発現がく、同様の傾向はRT-PCRによる解析でも見られた。この結果は、ydk1-D の根が異常な形態を示すという観察と一致する。いくつかのシロイヌナズナGH3 遺伝子の発現は光シグナルによっても制御されていることが知られており、RT-PCRの解析によって、YDK1 遺伝子の発現は青色光と遠赤色光の照射によって減少することが明らかになった。また、YDK1はin vitro でオーキシンをアデニル化する活性を示すことが報告されている。現在、YDK1 の過剰発現がオーキシンによって誘導される遺伝子の発現にどのような影響を与えるのか検討中である。
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© 2004 日本植物生理学会
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