日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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フィコシアノビリンをフィトクロム発色団に持つ植物体の光生理応答の解析
*嘉美 千歳向川 佳子村本 拓也岩田 尚子小林 聡和横田 明穂篠村 知子J. Clark Lagarias河内 孝之
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p. 072

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抄録
 植物の赤色光(R)/遠赤色光(FR)光受容体であるフィトクロムは、フィトクロモビリン(PΦB)を発色団に持ち、様々な光応答に関わっている。我々は、フィトクロム発色団の構造と光生理応答との相関をin vivoで調べるため、PCBをフィトクロム発色団にもつ発色団改変植物体(以下PCYA1)を作出した。PCYA1由来のフィトクロムタンパク質は、野生型(WT)よりも短波長側にシフトした波長吸収特性を示し、暗所での蓄積量や光分解レベルがWTと変わらないことを前年度本大会で報告した。そこで、PCYA1について大型スペクトログラフの単色光を用いて主なフィトクロム応答を調べた。R、FRに対する高照射反応(R-HIR、FR-HIR)は、間歇照射による胚軸の伸長抑制により評価した。PCYA1は、695-720nm付近でFR-HIRを示し、波長吸収特性が短波長側へシフトした影響が顕著に観察された。一方、R-HIRでは、PCYA1は、WTと基本的に変わらない反応を示した。種子の発芽率を指標に観察した低光量反応(LFR)、超低光量反応(VLFR)においても、PCYA1はWTとほぼ同様の応答を示した。このことからPCBを発色団にもつフィトクロムは、基本的に全ての反応において機能すること、FR-HIRには吸収波長シフトの影響が顕著に現れることが明らかになった。
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© 2004 日本植物生理学会
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