日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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青色光と緑色光によってフィトクロム様可逆的光変換を示す新規の光受容体PixJ1
*吉原 静恵片山 光徳耿 暁星池内 昌彦
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p. 076

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抄録
単細胞性のシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803は線毛によって運動し、光源へ向かう正の走光性、または遠ざかる負の走光性を示す。pixJ1 (gene ID: sll0041 in Cyanobase)は正の走光性に必須であり、フィトクロムの色素結合領域に保存されたGAFドメインをもつことから正の走光性の光受容体であると考えられた。PixJ1をSynechocystisから精製した結果、開環テトラピロールが色素として共有結合していることを見いだし、昨年度の本大会で報告した。精製したPixJ1は青色光(435 nm)と緑色光(535 nm)に最大吸収をもつ可逆的光変換を示し、暗所では青色光吸収型が安定であった。植物のフィトクロムは開環テトラピロールを結合し、赤色光吸収型(Pr)と遠赤色光吸収型 (Pfr) の光変換を示す特徴が知られている。近年、光合成能の有無に関わらず、多くのバクテリアのゲノムから、フィトクロム様の遺伝子が見いだされており、PrとPfrの光変換も報告されている。SynechocystisのフィトクロムCph1はphycocyanobilinを色素として結合するが、その最大吸収は656 nm(Pr)と705 nm (Pfr)であることから、phycocyanobilinがPixJ1に結合する可能性は低い。そこで、開環テトラピロールの生合成にかかわると考えられる遺伝子をSynechocystisのゲノム上で探索し、複数の候補遺伝子を得た。それらの遺伝子破壊株の合成するタンパク質について報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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