日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アサガオのアポプラストを流れる糖組成
*三浦 梨江子野崎 悟史山崎 雄平桜井 直樹
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p. 089

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抄録
 前大会で我々はアサガオ(Pharbitis nil cv. Violet)におけるアポプラスト液(AP)の糖組成を報告した。サンプルのAP液はプレッシャーチェンバーを用いて0MPaと1MPaで加圧採取し、更に同一個体でシンプラスト(SY)を採取した。AP液を加水分解した後、アセチル化を行ないGC分析をすると、少量のFuc、Ara、Xyl、Man、Galと比較的多量のRha、Glcが含まれていた。それらの糖のうち特に GlcとRha、AraとGalがそれぞれ1:1の割合で存在していた。さらに、1MPaのサンプルではこの2組の糖は経時的にリズム変動をしていたため、この2組の糖が何の物質に由来するのか同定をした。加水分解によって得られたAra、Galはペクチンやアラビノガラクタンタンパク質(AGP)由来のものと考えられる。そこで、β-グルコシル-ヤリフ試薬を用いてAP液のAGP濃度を調べた。その結果、0 MPa、1 MPa、SYでそれぞれ0.27、0.04、0.31mg/mlであった。これは加水分解してGC分析で得られた遊離のAraとGal濃度にほぼ相当しており、AP中のAra、Galの大部分はAGP由来であることが示唆された。一方、RhaとGlcは1:1で結合するとルチノースになる。このような糖をもつ配糖体がアサガオのAPを流れていることが考えられ、現在同定中である。
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© 2004 日本植物生理学会
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